道しるべ
2/12 ボラティリティ
今回は、「ボラティリティ」という言葉を取り上げてみたいと思います。
2007年の世界経済危機が発生する前に書かれ、その後の展開を予想して話題となった本「ブラック・スワン」の著者ナシーム・タレブ氏が、このボラティリティという言葉をよく用いてられています。
本来は「不安定・変動」の意ですが、昨今では金融用語として使われる事が多い様で、そこでの意味は「ある銘柄についての価格変動率」とあり、例えばボラティリティが大きい=価格変動が大きいとの意で、これが大きいと利益を上げやすい反面、損失の可能性も高まる傾向を差す時に使われる様です。
最近にあったタレブ氏のインタビューで、氏の考え方が例の福島原発事故についてのコメントに要約されているとの事ですので、ここに掲載させて頂きました。
「日本人は小さな失敗を厳しく罰するので、人々は小さくてよく起こる失敗を減らし、大きくて稀な失敗を無視する。アメリカは小さな失敗にも大きな失敗にも寛容だ。
私は大きな失敗は良くないと思うが、小さな失敗はむしろ好ましいと思う。イノベーションは、小さな失敗の積み重ねだ。イギリスの産業革命は、試行錯誤と失敗から生まれたのだ。
だから日本人は、小さな失敗を許すべきだ。カリフォルニアには“fail fast”という言葉がある。いかに失敗するかを知っていることが、ハイテク企業が生まれる理由だ。
日本人は既存のフレームの中では問題を受け入れるが、そのフレームを変えようとすると、失敗を恐れる。
私の本の中で二つのペイオフを論じた:一つは、日常的に小さな利益を得て、大事故ですべてを失う―これが福島事故だ。もう一つは、普段から「ボラティリティ」が大きいが、破滅的な事故は起こらない。
ボラティリティを恐れないで、破滅を恐れるべきだ。ローマ人は「揺れる船は沈まない」と言った。小さな変動は望ましい。危ないのは、それを人工的に抑圧することだ。バブルの崩壊は、こうした問題の先送りによって起こる」
ここには、大いに傾聴すべき本質的な事が語られている様に思えます。
失敗を必要以上に恐れ環境変化を無視して現状維持を決め込むと、返って大きな損失を被るとも取れる話です、逆に言えば、ワザと小さな失敗をする事で、そこから小さな種を見つけ育むことで、結果、成功を得るとの事でもあり、又そういう方法でしか、この変化の激しい時代を乗り切る事は出来ないとさえ言えるかも知れません。
「自然(社会)は本来ボラティリティを持っているので、それを抑圧すると返って爆発するものだ」
この言葉をしっかり頭に入れて、経営に取り組んで行きたいと思います。
2013-02-13 09:55:13 | RSS