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道しるべ

11/26 森光子さん

誰のためでもなく自分のためにがんばりました。
最近やっとそう思うようになりました。
 
これは、放浪記の舞台を初演から45年を経て前人未到の2017回を達成された森光子さんの晩年のインタビューでの言葉です。

                                       
 
先日の10日に満92才でお亡くなりになった森さんの追悼番組が放映されていた中で紹介されていたので私もその時に知った事でした。
 
また同時に、大正9年(1920年)生まれは、奇しくも私の母と同い年でもあって近しさも感じていましたし、すっかり老いた母親と比べここ近年まで舞台で活躍されていたのに常々から感服しきっておりましたので、つい番組を最後まで見たという訳です。
 
解説によると、「1961年に恩師である菊田一夫に見込まれ、菊田自身の脚本による芸術座公演『放浪記』にて主役の林芙美子役を演じ、以後、生涯通算で2017回を数える森の主演代表作となると共に、それまで脇役であった森が主演女優への階段を上るきっかけとなった。
 また森は、林芙美子役について「舞台で死んでも、この役を渡したくない」と並々ならぬ思い入れを語っていた、、」とありました。
 
番組を見ていて、司会者や出席のゲストの表情からも森さんの温かい人柄が偲ばれ、とても回りから慕われていた人なのは直ぐに分りましたが、画面中印象的だっのは、同時にそれだけ多くの人に囲まれた環境でも、例えば千秋楽で舞台の仕事が終わって共演者やスタッフ達との暫くの別れの時に「また寂しくなるのよねぇ」とふと漏らされていたことでした。
 
そんな言葉が印象的なほど、人というのは本来的に寂しいものなのだなとしみじみ感じましたし、高齢になればなるほど一層その想いは募るものでしょう、今更ですが「人間」とは、人の間との文字だけに、本能的に「社会的存在」として初めて生きていけるものだと感じます。
 
そしておそらく森さんは「舞台で死んでも、この役を渡したくない」と強い執念を見せるのも、最初は役をやり通す使命感が中心だったと想像しますが、大勢の人達と創り上げる舞台を通じて、多くの人の中に居ながら常に目標に向かって生きて行く事が、正に高齢になっても孤独に苛まされず精神的に健全に生活出来る極意なのだと感じられていたのではないかと思うわけです。
 
そう考えれば、冒頭の言葉「誰のためでもなく自分のためにがんばりました」がすっと腑に落ちてきます、そして改めて、私もその生き方に強い共感を得ました。
 
これからより一層自分の人生と仕事についてじっくり腰を落ち着けて臨んで行けるヒントを教えて頂いた様な気がします。
 
改めて、森光子さんのご冥福をお祈り致します。
2012-11-27 09:14:27 | RSS