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道しるべ

10/7 ある倒産劇

世の中、失敗例から返って多くの事を学べることもありますが、会社経営にとっての最大の失敗は言うまでもなく「倒産」でしょう。
 
その倒産を経験した経営者からの視点には、多くの貴重な教訓が詰まっている様に思います。
 
そんな中、最近「私、社長ではなくなりました」との著書も出版された㈱ワイキューブ元社長の安田佳生氏の経験談は、とても身につまされる部分が多くありましたので、少し記しておきたいと思います。
 
ワイキューブは社員への徹底した福利厚生をうたい、オフィスにバーやワインセラー等を作り、一躍時の企業として様々なマスコミで取り上げられた人材支援コンサルティング企業でしたが、2011年3月末に民事再生法申請にて倒産の憂き目に会われました。
 
氏は「人件費を削ってまで利益を出してそれが優秀な社長ならあまりやりたく無い」と考える基本的に心根の優しいロマンチストな面を持つ方の様で、正直なところ考え方が甘いなと感じましたが、経験談そのものにはリアルな重みと貴重な教訓があります。
 
*「社員の給料を2年で倍にする様な奇抜なことをしてましたが、本当は業績が上がってからにするべきだったでしょうが、やはり約束を守りたい気持ちが先んじてしまった。約束を守る事は、人として大事なことだが、社長としてはダメな動きです」
 
*「社員のモチベーションを上げるために投資する手法は根本的には間違っていなかったと思うが、それをやって行くためには決定的に欠けていたものがあった。それは、社員にも義務を負わせる『仕組み』です。頑張った分報われ同時にやりたい事に責任を持って敢行させるという仕組みです」
 
*「出来るだけ働き易い環境で!との一心で僕が与えていたのは仕事や働く環境ではなく、単に時間を過ごす環境でした、快適だろうけれどそれに見合うむしろそれ以上を同時に社員に求めないとイケなかった」
 
*「社員の給料を高くするのが社長の責務だと思っていたが、それは間違っていた。社員の給料を稼ぐのは社員自身であって社員が出来るだけ自分で給料を稼げる様な環境を作るのが社長の仕事だと思います」
 
「敗軍の将・兵を語る」ではありませんが、先進的な経営でも、基本を忘るるべからず、、との教訓としたいと思います。
2012-10-09 18:07:40 | RSS